【参院選2019 大阪選挙区】「消費増税の前に、身を切る改革を」 東徹氏(日本維新の会)

 「身を切る改革」を掲げ、2期目に挑戦する東徹候補(52)。消費税増税の前に、行政改革が必要だと主張する。また「政治はマーケティングだ」と語り、若者に対しては「(投票に行けば)自ずと若者向けの政策が充実する」と政治的意識の向上を促す。

 

取材日=6月27日 (取材・写真=鶴)

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 第25回参議院選挙が7月4日に公示され、21日の投開票日に向けた選挙戦がスタート。大阪選挙区からは改選数4に12人の候補者が立候補した。本紙では6月26日までに出馬を表明した10陣営に取材を行い、若者目線で政策を聞いた。若者に関係する9つの質問を用意し、回答に応じて質問を加えた。

 

梅村みずほ(日本維新の会)太田房江(自由民主党)尾崎全紀(NHKから国民を守る党)数森圭吾(幸福実現党)亀石倫子(立憲民主党)佐々木一郎(労働者党)杉久武(公明党)辰巳孝太郎(日本共産党)にしゃんた(国民民主党)

※敬称略 50音順

 

※大阪選挙区からは他に足立美生代氏(オリーブの木)と浜田健氏(安楽死制度を考える会)が立候補しています。

※立命館大学新聞社としては、特定の政党や候補者の政治的主張に同意することはありません

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Qなぜ参院選に出馬するのですか?

 「少子高齢化で財政が厳しい」と言って、消費税が10%に引き上げられようとしています。国民保険料や介護保険料の負担も増しています。国民の負担が重くなる中で「(消費増税ではなく)他にやることがあるだろう」と思います。まずは国会議員が「身を切る改革」を進めていかなければなりません。議員の数や報酬を減らした上で徹底した行政改革が必要です。東日本大震災の後に始まった国会議員の報酬2割カットを他党は止めましたが、日本維新の会だけは続けています。

Q東さんは「参議院は廃止すべき」と主張していますよね。

 「二院制である必要があるのか」と疑問に思うことがあります。参議院は、衆議院で決まったことをそのまま審議するカーボンコピーです。法案の審議に時間ばかり取られて、物事がなかなか進まない。それなら一院制で良いではないですか。

Q参議院は「良識の府」と言われますが。

良識の府と言えるか疑問に思うことがあります。例えば採決の時に、わけのわからない人がアピールのための牛歩戦術をやってみたりと。衆議院で可決したら、参議院でも絶対に通りますよね。

Qではなぜ必要のない参議院議員を目指すのですか?

 参議院を無くそうと思ったら、憲法改正が必要です。そのためには国会の3分の2が賛成する必要がありますから。

Q再選したら取り組みたい政策は何ですか?

 さきほど話した行政改革が1つです。もう1つは大阪をもっと成長させていきたいと思っています。東京一極集中が進んでいる中で、対抗できるのは大阪です。一極集中には限界が来ていて、首都直下地震などで首都機能が停止した時のバックアップを大阪が担えるように都市機能を分散する必要があります。大阪都構想を進めて、大阪を副首都にしていくべきです。

Q具体的な政策について聞いていきたいと思います。まず少子高齢化が進行している社会で、社会保障制度は維持できるのでしょうか?

 年金制度については今の賦課式から積立式※に変えるというのが1つの選択です。もう1つは払っていない人からきちんと徴収するのが大切です。そのためには保険制度を変えることが必要でしょう。今は公的年金を日本年金機構が徴収する一方で、税金は国税庁が徴収します。これを1つにする歳入庁を作り、確実に徴収することが必要です。高齢者が医療・介護をきっちりと受けられるようにしなくてはなりません。そのためには財源を作るための改革が必要です。

Q大学生としては学費の問題が身近です。今年5月には「高等教育無償化法」が成立しましたが、東候補の立場を教えてください。

 幼児教育から高等教育までの無償化を進めたいです。本来は収入に関係なく無償化したいですが、ある程度の年収制限はかかるかもしれません。経済的に厳しい家庭でも大学進学のチャンスを保障することは大事です。

Q高等教育無償化法の財源は10月の消費増税分とされています。消費増税に関してどう考えますか?

 消費増税には断固として反対です。とりあえずは今の8%で据え置くべきです。軽減税率も紛らわしいと思います。国民の負担を増やす消費増税は経済には逆効果です。日本のGDPの6割が個人消費なので、消費税を上げると経済が落ち込みます。

Q ワーキングプアの問題にはどう取り組むのでしょうか?

 非正規を望む人もいるので、「正規雇用を希望しても正規で就けない人」をどう救っていくのかが大切です。ただ雇用状況は好調だと思います。どの企業も人手不足ですよね。

Q 人手不足が深刻化する中で、外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法が今年4月に施行されました。外国人の受け入れをどう進めていくべきですか?

 日本人労働者と同じ境遇にしていかなければなりません。技能実習制度の上で、劣悪な労働環境を強いる企業がありましたが、このような事例はダメですよね。

Q 受け入れはどういうスタンスですか?

 人手不足など日本の経済状況を考えると、受け入れていかざるを得ません。農家も飲食業も介護も、人手不足で産業が成り立ちませんから。治安は悪くなりますよ。

Q 最低賃金に関してはどう考えますか?

 最低賃金が上昇することは良いですが、(何円まで引き上げるかは)簡単には言えません。ある程度、経営が成り立つ範囲の中での引き上げが望ましいです。最低賃金は全国一律の方が良いですが、地方の中小企業は困窮しますよね。

Q アベノミクスをどう評価しますか?

 デフレ脱却に一定の効果があったと思います。安倍首相は3本の矢(金融緩和・財政出動・規制緩和)を掲げましたが、規制緩和はより進めていくべきです。新しいものが生まれる社会を作っていかなければなりません。

Q「国の借金」が1100兆円を超えました。どういった意見を持っていますか?

 若者や子どもたちに借金のつけがまわってきますので、借金は減らしていくべきです。国が保有しているUR都市再生機構の完全民営化を進めたり、日本たばこ産業(JT)の株を完全売却したりしたら、お金が入ってきますよね。そういうことで借金を減らせば良いと思います。※2

Q最後になりますが、逆に若者に期待することは何ですか?

 やはり政治に関心を持ってもらいたいです。若者が投票に行けばいくほど、若者に対する政策が出てきます。政治はマーケティングなので、投票に行く層には製品を作るけれど、行かない層のためには製品を作りません。若者が投票に行かなかった結果、少子高齢社会が進行しました。「まずは政治に関心を持って投票に行け」と言いたいです。そうすれば自ずと若者向けの政策が充実します。

※賦課式=現役世代の保険料を現在の高齢者に支給する仕組み

積立式=現役時代に払い込んだ保険料を、老後に受給する仕組み

※2 日本たばこ産業の株式の33.35%を財務大臣が保有している