【cafebar marimoの挑戦】「学生4割引きで千本北大路に若者の活気を」

 昨年秋、千本北大路にオープンした「cafebar marimo」。衣笠キャンパスから徒歩20分ほどの場所に位置し、立命館大学生からも絶大な人気を集めている。その魅力はなんといっても「学生全品4割引」だ。事業を開始した森村柚午社長に開業の経緯や店の特徴について話を伺った。

cafebar marimoと周辺地図。
cafebar marimoと周辺地図。
「cafebar marimo」社長の森村柚午さん。
「cafebar marimo」社長の森村柚午さん。

 森村さんがcafebar marimoを開業した背景には「祖父が残してくれた大切な場所で何かしたい」、「千本北大路を活気づけたい」という2つ想いのがあった。

 cafebar marimoがある場所はかつて、森村さんが生まれ育った場所であった。しかし、母子家庭だった森村さんは大学へ進学する際に、金銭的な理由から母と共にこの物件を手放すことになった。そんな中「この場所をどうにかしたい」と森村さんは学生時代から思っていた。昨年8月末、社会人になった森村さんのもとに、不動産会社からこの物件が空くという連絡が入った。森村さんはすぐにこの物件を取得し、カフェを開くことを決めた。

 同時に「少し歩いた先の金閣寺のほうはめちゃくちゃ活気があるのに、この辺は全然活気がないな」という問題意識も森村さんは感じていた。「活気を付けるためには若者の力が必要。だからこそ若者の集まる場所を作りたい」。そんな想いから「cafebar marimo」は始まった。

来店時に配布されるQRコードと実際の注文画面。
来店時に配布されるQRコードと実際の注文画面。

 「学生4割引で、どのようにして儲けているのか」という問いに森村さんは「結論、儲かっていません」と答えた。「『誰かが満足してくれて、自分たちが満足できることをやっていれば、いつかどこかで何かが起こる』。そう信じているうちに、cafebar marimoのビジョンに賛同する企業が現れ、店内にその企業を宣伝するカードを置いておくことなどで、収益を得ることができることになった」と森村さんは話す。あくまでも学生が集まる場所のためというのが最大の目的であり、利益を出すことは考えていないという。

 cafebar marimoの特徴にもう1つ、来客が自分のスマートフォンから注文をするというシステムがある。このシステムには、森村さんが代表取締役を務める株式会社dot Starが関わっている。dot Starの事業の一つに、飲食店のサポートするアプリの開発と運用があり、その技術がcafebar marimoで活用されている。客は着席するとまず、店員から席番号の情報が入ったQRコードが配布され、それをスマートフォンで読み取ると、スマホ画面に注文のページが表示される。客はスマホでメニューを見ながら、自分のタイミングで注文をすることができる。

学生に絶大な人気を集めるタピオカドリンクはmarimoでも大人気だ。
学生に絶大な人気を集めるタピオカドリンクはmarimoでも大人気だ。

 面白い空間を作り学生を集めるため、cafebar marimoではイベントが開催されることもある。「誰かのために何かをする」「自分たちが楽しむことをしよう」という2つの軸でcafebar marimoを経営している森村さん。「自分の利益だけを追求することは楽しくない。自分の幸せと他人の幸せが重なる部分を仕事にすれば楽しいと考えている」と語った。(張・堀ノ内)