「涙」は悲しい言葉か。はたまた喜びの言葉か。人それぞれ解釈が異なるだろう。「涙の数だけ強くなれるよ」などと歌う前向きな歌もあるが、どちらかというと涙を流すことには後ろめたさがある。
子どもの時にはあれほどまでに流した涙も、大学生になった今ではすっかり流さなくなる。大学生にもなって涙を流すことに対して恥じる気持ちがあるからだろうか。素直に感情を面に出すのが下手になったからだろうか。泣きたい時には泣く。笑いたい時には笑うということがあまり上手にできない人もいるかもしれない。
「泣きなさい 笑いなさい」という歌詞の歌を知っているだろうか。これは沖縄の歌手の喜納昌吉さんの「花~すべての人の心に花を~」という歌で、日本の歌百選にも選ばれている。近年では夏川りみさんらがカバーしたことでも有名だ。沖縄は太平洋戦争では地上戦が行われ、戦禍をこうむった。この歌はそのような沖縄や世界の平和を願う歌のように感じることができる。
この歌の冒頭の歌詞「川は流れてどこどこ行くの」。川の水は絶えず流れ続けている。川の水は海に流れ着き、その水が雨となり再び川に降り注ぐ。そのようにして川の流れは再び戻るのだ。
「涙」という字は水が戻ると書く。沖縄の先人たちが残し、絶えず受け継がれている歴史という川の流れも、先人たちが流した涙の雨も、我々は心に刻み、受け継いでゆかなければならない。
47年前の5月15日は沖縄が日本に再び戻った日だ。戻った水を受け継いでゆくためには、まずは水の中の声に耳を傾けなければならない。その声が泡となって消えぬように。(石井)
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