立命館の4年に一度の総長選挙。立命大の学生も参加します。
本紙では今回の総長選挙をさまざまな視点から報道してまいります。
2014年11月9日
11月9日、朱雀キャンパスおよび立命館アジア太平洋大学(APU)キャンパスにて総長候補者選挙人会が行われた。第2次投票の結果、吉田美喜夫氏(64)が選出された。
朱雀キャンパス会場ではAPU会場の様子も中継され、同時に進行された。朱雀キャンパスとAPUキャンパス合わせ計393人の選挙人が出席した。
投票に先立ち午後0時15分からガイダンスが行われ、投票についての説明がされた。その後、午後0時40分頃から随時投票が始まった。投票開始後は公正な投票のため、議場閉鎖となり、選挙人は開票が終わるまで基本的に会場外に出ることができないなど厳正に執り行われた。
今回の総長選挙では吉田氏の他に髙倉秀行氏(65)、渡辺公三氏(65)が総長候補者となっていた。第1次投票では吉田氏193票、渡辺氏192票、髙倉氏8票となっていた。これを受け、吉田氏と渡辺氏による第2次投票が実施され、吉田氏200票、渡辺氏193票となり、吉田氏が当選した。
開票の結果を受け11月28日の理事会で新総長が正式に決定される。任期は2015年1月から18年12月31日までとなっている。
吉田氏は、立命館大大学院法務研究科教授を務める。11月3日に行われた本紙を含む合同インタビュー内では、全構成員自治の重要性を主張している。国際化については学園全体として推進していくとしている。
吉田美喜夫
よしだ・みきお 立命館大大学院法学研究科民事法専攻後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。研究分野は労働法。著書に『タイ労働法研究序説』(晃洋書房)など。現在は立命館大大学院法務研究科教授。他に京都紛争調整委員会委員や草津市人権擁護審議会会長などを務める。
総長選挙特別号 インタビュー全文掲載
今月3日、立命館大学新聞社と立命館大学放送局、学友会中央常任委員会が合同で行った吉田氏へのインタビュー全文を掲載します。取材の中では目指す大学像やR2020基本計画、国際化について言及されています。
2014年11月5日
髙倉秀行
たかくら・ひでゆき 大阪大大学院基礎工学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(工学)。研究分野は半導体電子工学。富山県立大学工学部教授などを経て、現在は立命館大理工学部教授。著書に『薄膜シリコン系太陽電池の最新技術』(シーエムシ―出版)など。2004年から07年には立命館大理工学部長、立命館理事・評議員。他に10年から12年まで立命館大学図書館副館長を務める。太陽光発電とくに高性能太陽電池の開発に従事する。
吉田美喜夫
よしだ・みきお 立命館大大学院法学研究科民事法専攻後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。研究分野は労働法。著書に『タイ労働法研究序説』(晃洋書房)など。現在は立命館大大学院法務研究科教授。他に京都紛争調整委員会委員や草津市人権擁護審議会会長などを務める。
渡辺公三
わたなべ・こうぞう 東京大大学院社会学研究科文化人類学専攻後期博士課程単位取得退学、博士(文学)。著書に『マルセル・モースの世界』(平凡社)など。研究分野は文化人類学・アフリカ論・人類学史。現在は立命館大大学院先端総合学術研究科教授。立命館理事・副総長も務める。
2014年11月5日
お断り 髙倉氏は今回の合同インタビューを辞退されました。公表された所信表明内で推薦されたことについて「誠に光栄の至り」としながらも「私は、理工学部長を退いて8年余の年月が経過し、最近の学園の取り組みや課題について明るくなく、本学に課せられた諸課題を遂行する能力は、残念ながら持ち合わせておりません」と述べています。
吉田美喜夫氏
―今年6月に学校教育法の一部が改正され、以前より学長の権限が強化された。学長の性格が変化していく中で、どのような総長像を目指すか。
「改正の狙いは、学長にリーダーシップを発揮させてスピード感を持って大学運営させるというところにある。リーダーシップは必要だが、いくら総長が一方的に決めたからといって、政策を具体化するのは現場の人たちだ。総長のリーダーシップは、構成員の信頼に支えられて初めて発揮できる。そのためには、目標や課題が十分に構成員の間で共有される必要がある。また責任と権限は不可分である。権限を振りかざすのではなく、責任を果たせるリーダーシップが重要だ」
―どのような大学・学園を目指すか。
「教育機関は、教育・研究が、安定的に進められていくことが重要である。しかし現在、教学理念や全構成員自治が、十分に体現されているか、という点は問い直さなければならない。本学の強みである全構成員の声をしっかりと聞いて、決めたら着実に実行するという点が、現在弱まっているのではないか。本来の姿を回復することが、立命館の独自性を発揮することにつながる。昨年、322億円という財政試算の見込み違いが明らかになった。財政のすり合わせを行い民主的で着実な学園運営が重要だ」
―R2020と国際化政策についての展望は。
「世界を舞台に活躍できるような意志と能力を持った学生を育てていくことが今日の大学の使命だ。学園全体として国際化を推進していきたい。意志と能力のある全ての学生に国際的に活躍できるチャンスが開かれていなければならない。その時に問題になる語学力や経済上の問題を解決していきたい。またすでに本学に多数来ている留学生との関係で言えば、言語を超えたコモンズとしての学園を作っていく必要がある。R2020後半期計画については、さまざまなプランをどのような手順で優先順位をつけるのか、また財政的な裏付け、というような課題を今後、熟議していくことが必要だ」
―自身の研究分野である「労働法」をどのように大学運営に反映させるか。
「健康的に働ける学園を作っていきたい。また学生が就職した時にブラック企業で苦しむことがないように、大学時代に法的な知識を全ての学生が身に付けられるような取り組みが必要ではないか」
―学生へのメッセージを。
「私は皆さんと同じように立命館に入学して、今日まで学んできた。私は立命館に育ててもらったと思っており、心から入学して良かったと思う。立命館に入学して良かったなと感じてくれるような大学にしたい。立命館を品格のある、そして社会から尊敬される大学にしたい。立命館が皆さんにとって『運命を切り開いていく場所』となるよう最大限努力をしていきたい」
渡辺公三氏
―今年6月に学校教育法の一部が改正され、以前より学長の権限が強化された。学長の性格が変化していく中で、どのような総長像を目指すか。
「世の中に、学長にリーダーシップを求める動きがある。しかし他大学の学長の意見をみても、それぞれの大学の個性や歴史の蓄積があるので在り方が簡単に変わることはないと考える。立命館は全構成員自治を尊重しながらやっていくことが基本になる。今までの経験の蓄積を踏まえて、また学生の考えていることを踏まえて判断していくことが学長に求められる」
―どのような大学・学園を目指すか。
「国際的な基準で選ばれる大学、そして貴重な4年間を過ごした人たちが後輩に自信を持って勧められる大学にしたい。基本的な学力と知識は正課授業で身に付け、課外活動を通して大学の中ではできない経験を身に付けてほしい。多様にある課外活動の環境作りが重要になる。そのためには先生方の理解を深めていきたい」
―R2020と国際化政策についての展望は。
「OICの用地を取得する際には、川口清史総長の下で厳しい議論を突き詰めて基本的な確認事項までこぎ着けた経緯がある。現在は、R2020の後半期をどう進めていくかが論点になる。新しい総長はその経緯をベースにして政策を進めていく。筆頭に挙げられる政策に『グローバル・イニシアティブ』がある。そして新たに学習について『学びの立命館モデル』を構築することを検討している。これは、座学中心であったこれまでの学習から、自分で設定した課題に積極的に取り組み、一定の見解や解決策を見つける学習を指す。この二つの政策がR2020後半期の中心になる。大学の国際化は中心的な課題。9月のスーパーグローバル大学創成支援の採択に立命館学園から2校が選ばれたことは画期的である。この採択の背景には立命館付属の中高がスーパーグローバルハイスクールの指定を受けるなど社会的評価をされてきたこともある。学園全体としてグローバル化を進めていきたい」
―自身の研究分野である「文化人類学」をどのように大学運営に反映させるか。
「人類学の基本はフィールドワーク。現場に出掛け、そこで生活する人々に話を聞いていくことが中心になる。そこで何を学び取れるかということが重要。総長としてはキャンパス、課外活動の場などにも足を運び、話を聞くようにしたい。何かを決めるとき、主要な構成委員の意見だけで決めることは良くない。主人公は学生であり、学生本位でやっていきたい」
―学生へのメッセージを。
「学生の皆さんの志を遂げられるような大学を作っていきたい。そのために多くの人と議論をし、理解をいただいて、そこでの意見を集結して学園作りをしていきたい。よろしくお願いします」
選挙人選挙 投票始まる
今年度は4年に1度の総長選挙が行われる。2007年から総長を務める川口清史総長(69)は規約上今回の選挙に立候補できず、新たな総長が決定することになる。学生は9月下旬から行われる選挙人選挙で総長選挙に参加する。選挙人は総長候補者選挙で投票を行う。
選挙人選挙の投票は9月下旬から随時始まり、不在者投票も実施される。各学部によって日程と場所は異なる。全選挙人の選出期間は10月10日まで。
学部生の選挙人は1学部1区分として区分ごとに選出。1区分3人を基本に各区分の収容定員の数により人数が追加され、区分によっては最大6人の候補者が選出される。選挙人は、候補者として各区分の有権者5人に推薦され、一般の学生の投票によって正式に選出される。=選挙人候補者の一覧
選挙人選挙では自身の学部、大学全体について見識のある学生が選出されることが望ましい。候補者には、大学全体について普段から考える機会が多い自治委員の学生が多く名を連ねている。また日々の学習・研究や課外活動などの実績、さらに年齢や性別、国籍などの多様性も選挙人には求められる要素だ。
総長候補者はその後10月14日までに総長候補者推薦委員会により3名から5名が決定、公表される予定。また一般推薦による総長候補者の受け付けもこれ以降に可能となる。
11月9日には選挙人全員による総長候補者選挙が朱雀キャンパスおよび立命館アジア太平洋大学(APU) キャンパスで行われる。ここでの投票は過半数の得票で当選となる。過半数の得票がなかった場合は上位2名での第2次投票となる。選挙の結果を受け同月28日に総長が正式に決定することになる。新総長の任期は翌年1月1日から2018年12月31日まで。
8月6日、広島での平和記念式典に出席した安部晋三首相が行ったスピーチの冒頭部分が昨年のものと酷似していたことが指摘され、ニュースやネットなどで話題になった。
広島と長崎への原爆投下から69年が経ち、時代の経過とともに当時を生きた人々が減っていることが懸念されている。首相が行ったスピーチは、先の大戦を知らない世代が社会の中心になっていることを象徴している。
戦争を体験した人々がこれまでに残してきたものを継承していくことが焦眉の課題となる中、いま言葉の重みが問われる。
今回の総長選挙において選挙人の選出は重要だ。しかしながらネット上に掲載されている公示を見てみると一部に所信表明が一言のみで、その所在が不明瞭であるものが見受けられる。
いかなる選挙においても言葉は非常に重要なものになる。近年では政界でも国民との約束であるマニフェストの軽視が多くなっていることが問題視される。
民主主義における選挙は立候補者と投票者の信頼関係のもとで成立する。その媒介となる最たるものが立候補者の言葉である。
9月上旬、記者は広島平和記念資料館を訪れた。そこで見聞きした当時を物語る実物資料の数々、そして被爆を経験した人々の言葉は鮮烈な印象を残した。
現在、2018年度のリニューアルに向けて一部で改装工事が進んでいる。被爆者の体験とその言葉の伝承、継承が新たな形で始まろうとしている。いかなる時代にあってもまず言葉を大切にしたい。
(松田貴之)
来年度に全学協控える
学生が総長選挙に参加することは、戦後の立命館が重視する「全構成員自治」を具現化する取り組みである。学園の代表で教学の最高責任者である総長の選出に学生が参加することは立命館の理念を実現する上で重要になる。
来年度には4年に1度開催される2015年度全学協議会を控える。ここでは立命館大を構成する学友会・大学院生協議会連合会・教職員組合および常任理事会が参加し、教育や研究をはじめとする学生生活に関する協議を行う。前回の11年度には「R2020基本計画」の策定など学生に直接関係する重大な決定もされた。全学協などの場で総長は学園政策の決定に深く関わる。
学生部次長・淺野昭人さんの話
学生には選挙人選挙はもちろん、その後の動向についても関心を持ってもらいたい。10月に総長候補が選出され、各候補者はそれぞれ意見表明を行う。その際、広く選挙人ではない学生にも関心を持ってほしい。それによって選挙人の総長選出への意識も高まるのではないか。
新しい総長の選出に当たり、政策の継承も組織にとって重要。立命館のこれまでの取り組みは社会的な役割も果たしており、大学の政策は学生だけではなく社会にも責任を持つ。川口総長の時代には主にグローバル化や新キャンパス設立を通じて教育・研究のさらなる発展が推し進められた。
総長は全学の合意に基づき政策を実行するため、新たに交代しても政策には一定の継続性が求められる。総長の交代によりこれまでの政策が劇的に変更されることはないが、各政策に対する重要度の比重は総長によって変化するだろう。
全学の合意形成を
今年度の総長選挙は「未来をつくるR2020―立命館学園の基本計画―」の後半期を担う総長を選出するため、重要な意味を持っている。来年度の大阪いばらきキャンパス(OIC)開設を皮切りに、後半期からは同計画に基づく教学改革が具体的に実施されていくことになる。
一方で大規模なキャンパス整備などを伴う同計画の財政面について、学内から不安の声が上がっていることも事実だ。 今年6月に開催された学生大会では、大規模な財政支出によって「学費の値上げ」が2016年度以降あるのではないかという点が、一部の学部の議案書で危惧された。また昨年度は同計画の財政政策を問題視する教職員らを中心に「オールRits大集会」が開催された。
大学側は財政公開などを行っているが、事業規模が大きいだけに、同計画推進による財政の圧迫を不安視する声が出るのは当然だろう。次期総長は、全学の合意形成を図るためにも、より積極的な財政公開と説明責任を全学に果たしていく必要がある。次期総長には全学の意見を集約し、改革を推進していくリーダーシップが問われる。
権利の上に眠るな
法格言の一つに「権利の上に眠るものは保護に値せず」というものがある。ある一定期間、権利が行使されなければ、その権利が消失するという民法の消滅時効制度の考え方を表わした言葉だ。この格言は総長選挙のような学生の大学自治にもいえるだろう。
学園の全構成員の投票によって総長を選出するという立命館の総長選挙は、まさに戦後、本学が大切にしてきた「全構成員自治」を体現した制度だ。この理念の下、私たち一般の学生にも選挙人選挙を通じて、総長を選ぶ権利が与えられている。
私たち学生を取巻く教学環境をさらに高度にしていくためには、私たち自身が投票を通じて権利を確実に行使し、態度を表明していかなければならない。
私たち学生が権利の上に眠っていては学生の大学に対する要求が実現しないばかりか「全構成員自治」自体が意味をなさなくなる。学生の積極的な参加によって、初めてその理念が真に生きてくるのだ。
選挙人候補者はホームページで公示されており、所信表明や推薦理由を見ることができる。
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区分ごとの選出定数
◦文学部………………6人
◦ 法・経営・産業社会・理工学部……………各5人
◦経済学部……………4人
◦ 国際関係・政策科学・情報理工・映像・薬学・生命科学・スポーツ健康科学部……各3人
改革に次ぐ改革の2期8年
今年の総長選挙は、川口清史総長(69)の12月末の任期満了に伴い実施される。川口総長は、2007年1月より現職で、10年の総長選挙で再選し現在2期目だ。大学の社会的役割、責任を重視する姿勢をみせ、大学の国際化、社会との連携の強化、新キャンパス開設などの教学改革に熱心に取り組んだ。改革派、川口総長の2期8年にわたる学園・大学運営を振りる。(総長選挙取材班)
国際化進む
川口総長は、立命館大の国際化を強く推進した。
川口総長の強い思いもあり、2012年度より試験的に始まった同大文学部・中国・韓国、3大学の学生が3カ国のキャンパスをそれぞれ移動し、共に学び生活する「日中韓キャンパスアジア・プログラム」は今年、文科省の「大学の世界展開力強化事業」の中間評価で最高評価であるS評価を受けた。
また今年7月24日には、10年後の同大の留学生の派遣、受け入れ数を現在の約2倍にすることを目指す国際化戦略「グローバル・イニシアティブ」を発表。海外の大学との連携強化や来年4月に開設予定の大阪いばらきキャンパス(OIC)を国際化の拠点とするなど、同大の今後のさらなる国際化に道筋を示した。国や経済界が大学に求めるグローバル人材の育成という要請に積極的に応えた形だ。
社会連携を強化
川口総長は総長就任時に本紙の取材に応え「立命の発展のかぎは社会との連携」と提言。地方自治体・他大学・研究機関・企業などの外部機関と同大を中心とする学園との共同研究や事業連携などを推進し、大学の研究や教育、学生の活動を社会に生かしていく政策に力を入れた。
今年だけでも8月の時点で約15件もの外部機関との連携、協力の協定が結ばれた。
昨年12月に文科省より発表された「民間企業からの受託研究実施件数」で同大が235件で全国1位となり、産学連携推進の政策の成果が表れた。
R2020の策定
川口総長は教学の大胆な制度改革にも着手した。12年には文学部の専攻の再編成を行い、学域制を導入。4専攻を新たに設け、それまでの14専攻・プログラム体制を8学域・18専攻体制に変える同学部創設以来の大改革を行った。学部、学科の新設も相次ぎ2期8年の間に4学部、3研究科が新たに開設され、16年4月にはOICに総合心理学部(仮称)が開設されることが決定している。 また今後10年の学園のビジョンを示した「未来をつくるR2020―立命館の基本計画―前半期(11年度から15年度) の計画要綱(R2020基本計画)」を全学討議の結果を踏まえ策定。大学の国際化と研究・教育活動の高度化を目指し、OICの開設、既存キャンパスのさらなる充実などの具体的な事業が2期目からは実施された。
総長選挙の選挙人選挙に際して、学友会は学生に投票を促す取り組みや、「理想の総長像」を作るワーキングなどを行っている。学友会の取り組みを学園振興委員長の稲田隆浩(法3)さんに聞いた。 (阪田裕介)
学友会は選挙人選挙に向けた広報を展開する。各学部自治会による広報、各学部ラウンジや1回生のサブゼミでのビラ配布、掲示物、学友会公式ツイッターなどで選挙人選挙について学生に伝える。
稲田さんは「大学以外でも学生の目に触れるSNSなどの広報に力を入れる」という。また「学生・教職員らから選ばれた『選挙人』が総長を選出する『間接選挙』の仕組みを学生に周知させることに力を入れたい」としている。
学友会では総長選挙を前に「理想の総長像」を作り上げることを目指す。稲田さんは「総長選挙で、どのような総長がふさわしいかという理想像なしに総長は選べない」と指摘。学友会では委員会を設置し、理想の総長像を作るワーキングを9月から行う。
各選挙人候補者はそれぞれの理想の総長像を持つ。学生は理想の総長像をイメージし、それに近い考えを持つ選挙人を選ぶことができる。その意味から学友会が提示する理想の総長像には重要な意味がある。
学友会の総長選挙への認識を稲田さんは「総長を選出する根拠は『全構成員自治』の概念に基づく。立命館を構成する学生組織の学友会は責任を持って選挙活動に取り組む。総長を選ぶ権利を持つことは、その選出に責任を持つこと。これは学友会中央パートに限らず、全学生が認識しなければならない」という。
そして学友会として「総長選挙には全ての学生が参加できる。それらの選挙結果に一人一人が『自ら選んだ』という自覚と責任が持てるよう、取り組みを行う」と強調した。
学友会では選挙人選挙後、総長候補者に対して公開質問状を送付する。それらの回答を10月中旬に学生に向け開示する予定だ。