【2018年6・7月号紙面より】
西日本を中心とした記録的豪雨は各地に甚大な被害をもたらした。7月16日時点で216名が死亡、21名以上が安否不明となっている。
京都市内では、記録的大雨となった5日夜に翌日の休講を決定した大学が相次いだ。同志社大では学長の判断により、午後8時半には翌日の1・2限の休講を決定した。また龍谷大では、午後5時53分にTwitterの緊急連絡用アカウントで終日休講を発表した。
本学は5日、大雨の影響として全キャンパスの5限以降を休講にする判断を下した。同日夜には衣笠キャンパスに隣接する金閣学区で避難勧告が発令。安全確保のためJR西日本は6日始発から琵琶湖線の運転見合わせを決めた。この決定を受けてBKCは結局、6日が終日休講となった。
衣笠キャンパス、OICの休講判断については「翌日6時半の運行状況」という通常の基準が適用された。大学側はほとんど情報を提供することもなく情報が欠乏する中で、多くの学生が不安な夜を過ごした。SNS上では「立命館大学対応悪すぎやろ。生徒のこと考えろよ」(原文ママ)などと本学の対応に疑問の声があがった。学生だけでなく教員も怒りの声をあげた。国際関係学部教授は「この悪天と危険のなかで授業のために頑張って登校し、そのまま帰される学生たちが不憫でなりません」とTwitterで発言した。
雨は6日、一層勢いを増したが、午前6時半のmanaba+Rに休講連絡はなかった。衣笠キャンパスでは出席学生のまばらな講義室に避難勧告の通知アラートが鳴り響いた。大学は衣笠学区の避難指示の発令に伴って、12時に衣笠キャンパスの同日3限以降の休講を発表した。雨がより強くなる中で本学は学生を大学構内から退去させた。学生会館では職員が走り回り、混乱の様相を呈していた。帰宅困難学生に対しての避難場所の指示は二転三転した。大阪府大東市に住む男子学生(法2)は3時間半をかけて大学に辿りついたが、1限の講義には間に合わなかった。2限中に避難指示が発表され講義後に帰宅を促された。この対応には「大学から出た方が危ないのでは」と疑問を感じたという。
6日の豪雨は気象庁の発表などから前日のうちから容易に予想できた。まして衣笠キャンパスの北側は衣笠山に面しているため、土砂災害も心配されていた。交通機関も麻痺している中で、学生は危険を冒しての登下校を強いられた。
先月の大阪北部地震の影響で授業日程が切迫していたという事情は推察できる。ただ学生や教職員の安全を第一に考えるのであれば、前日から全キャンパスを休講とする選択肢もあったのではないか。もし学生が重大な被害を受けていれば、大学側はどう責任を取るつもりだったのか。大学が最も重要視しなければならないことは何なのか。
本学は緊急事態発生時の想定が甘く、今回のような重大な災害に対応することができなかった。従来の基準では交通機関の運行状況を休講基準としており、豪雨や地震に関する項目が設けられていない。この基準に従えば、たとえ大学の立地する地域に避難勧告が出ていたとしても、ただちに授業は休講にならない。
本紙記者の「安全を考えたら、休講にするべきではないか」という電話での問い合わせに対し、大学職員は「ルールに基づいて判断します」と答えた。未曽有の豪雨被害が相次いで報道される中で大学は、そもそもがずさんなルールを盲信した。
本学の災害時の対応の遅さは以前から指摘されていたことである。大阪北部地震の際も、1・2限の休講を決めるまでに地震発生から1時間以上がかかった。今回のような想定外の事態が発生した時には特別の措置を取るべきであった。実際に市内の他大学は「学長の判断」など特例措置を下した。未曽有の災害下で適切な安全判断を怠り、多くの学生・教職員を危険にさらした大学執行部には安全を最優先とする姿勢を求める。
本学には災害復興支援室が設置されているが、これはあくまで災害後の対応が主な役割であり、災害時に迅速に対応する組織は無い。龍谷大などがTwitterの緊急用アカウントを活用した一方で、本学においては学生団体の方が情報発信や被災者の支援を素早く行った。
本紙記者の電話での問い合わせに対し大学側は「今後の対応を考える」と明言した。何かが起きてしまってからでは遅い。西日本豪雨や大阪北部地震を機に本学は対応を見直さなければならない。新たな基準の策定と緊急時対応の柔軟性が求められている。
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