「マイノリティでも熱意があれば理解してくれる」 本学ーAPU SDGs対談

グランプリを受賞したアダニサさん(中央)と夫のヒジュラ・サプトラさん(左)と切田さん(右)
グランプリを受賞したアダニサさん(中央)と夫のヒジュラ・サプトラさん(左)と切田さん(右)

 2019年2月20日、朝日新聞社主催の大学SDGs ACTION! AWARDS 2019が有楽町朝日ホール(東京都千代田区)で開催された。本コンテストは朝日新聞社が主催し、国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成のための取り組みを学生らが発表する。昨年度は本学のSustainable Weekがグランプリを受賞し、2019年度は見事、立命館アジア太平洋大(APU)から出場した「Plushindo:チャンスを作り出し、視点を変える」がグランプリを受賞した。今回はそのPlushindoを立ち上げたディサ・シャキナ・アダニサさんと、立命館大学 Sustainable Week 実行委員会の切田澄礼さん(生命4)との対談をお届けする。本記事を元に、新たな社会の実現のために活躍する若者、そのような若者たちが活躍するヒントになれば幸いだ。

「自分も社会にインパクトを与える存在になりたい」

ー本日はお時間をつくっていただき、ありがとうございます。立命館大学 Sustainable Week 実行委員会の切田と申します。まずお伺いしたいのですが、ディサさんはこれまでどのような活動をされていましたか。

 

 私はAPUの国際経営学部(APM)を2010年秋に卒業しました。そこから、オーストラリア、ニカラグア、シンガポールと世界各地を飛び回り、そこから母国のインドネシアに帰省し、ろう者(聴覚障がい者)がウェイトレスやコックとして働くことができるFIngertalk Caféを2015年にオープンしました。現在で事業開設から4年目を迎え、今はAPUに帰ってきて博士学生として研究も行っています。

ー大学卒業後に様々なところで活躍されてきたのですね。そんな多彩な活躍をされている中で、なぜ「ろう者」をサポートすることに着目したのでしょうか。

 これには私の母親の影響が大きくあります。私の母は小さい頃からインドネシアで貧困で学校に通えない子供たちのために学校(フリースクール)を運営していました。そこで働く母の姿を見て自分も社会にインパクトを与える存在となりたいと考えるようになりました。

  また、APU在学中にはボランティアグループでの活動やこれまでの経験から、社会活動に興味を持ちはじめ、社会に出た際には人の役に立つ仕事を行いたいと考えるようになっていきました。その中で、ろう者の方々を意識するようになったのは、ニカラグアに在住中に見かけた「ろう者カフェ」に訪れてからです。また、インドネシアでは日本や諸外国と違い、聴覚障がい者への差別があったこともあり、自身が取り組むべき課題とも感じることができました。そのような経験から、現在も活動を続けています。

 

ー自身が今まで感じてきたことと、新たにわかった事実から新しいサービスを生むことは私も非常に大切だと感じております。では、今回出場したPlushindoではどのような活動を行っているのですか。

 

 この活動では、インドネシアのジャカルタと農村地域に教育の機会を提供しています。そこではインドネシアの絶滅危惧種の動物をモデルにしたぬいぐるみを使用し、トレーニングを行っています。このぬいぐるみはろう者の方々が作成しています。現在はインドネシアの国立公園や政府からの販売要請もあり、デザインのブラッシュアップも行っているところです。また、日本でもこのぬいぐるみを販売するため、ネットショップでの販売もしています。特にここでサステイナブルに彼らを支援するために必要なものはお金です。お金を得るために必要な知識やビジネスマインドといった様々な視点を日本で学び、インドネシアで活用できるようにしていきたいと考えています。

「仲間との協力が成功の鍵へ」

ー今回、女性出場者が2年連続でグランプリを取得しております。私自身、同じコンテストに同じ立命館大学から男性が出場しており、周りも男性が多い中、女性である自身の活動がきちんと評価されて嬉しかった記憶があります。今日本で女性の活躍が学生のうちから取り上げられていることについてどのようにお考えですか。

 

 実は、日本だけでなくインドネシアでもジェンダーの不平等は問題となっています。また、日本はそれ以上にサポートされづらいとも感じていました。しかし昨年度、切田さんがグランプリを受賞されたことを伺い、女性でも外国人でもマイノリティでも、夢や目的などこれを実現したいという熱意があれば、日本でもみんなが理解してくれると感じました。この流れが途絶えることのないように、今後も女性や外国人、マイノリティの参加者が増加することを望んでいます。

 

ーSDGsはこれまでの日本人が考えていた「排他的」や「同一的」であるべきという考え方から、多様性を認める新たな可能性を秘めていると考えています。今後、学生がSDGsに関わっていくとして、どのような意識を持つべきだとお考えですか。

 私は今回出場した大学SDGs ACTION! AWARDSでは様々な方と出会い、今までにない価値観や視点などを知ることができました。そのような環境が有るからこそ、新たな刺激を得ることができ、自身の成長につながると考えています。そのような中では、自分が人と違うのではないかという不安にかられるときもあります。しかし、学生の皆さんは周りに協力しあえる仲間が沢山いることを忘れないでください。彼らと共に一緒に何かを行い、周りの人達を段々と意識変化させていくことが、多様性を認めて、学生のみなさんが成長する鍵になると考えています。ただ、もし学生の中でコラボレーションすることが難しいならば、家族の方と一緒にできることを探すことも重要です。自分のことを一番身近に見てきてくれた家族だからこそ、一番誘いやすく、一番手伝ってくれる仲間になることもあります。

ーお話しいただきましたように、やはり自身の周りの人の意識をどのように変えるか、自身が起点になることが非常に大切だと思います。また、そのような起点となる人が集まれるところに大学SDGs ACTION! AWARDSはなっていると思います。私達のようにこのような関係がコンテスト後も続くような仕組みがあればさらにおもしろくなりそうです。今回はありがとうございました。

 ありがとうございました。今後、SDGsを始め様々な自分のゴールに迎える学生がこのRitsumeikanから生まれることを願っています。